アキレス腱断裂、つまり、アキレス腱が切れる、というのは、日頃、よく起こる外傷の一つです。ここでは、アキレス腱断裂に対する当院の治療について述べます。
この治療は手術をして切れたアキレス腱を縫合する治療が主として行われていますが、当院では手術をしないで治療しています。
アキレス腱損傷とは:
30台−40台の人が運動をしている時に多く起こります。よく、運動をしていてふくらはぎの所を人とぶつかったと思い振り返ると誰もいない、などと怪我の時の状況を話す人もいます。
アキレス腱は足関節を底屈させる作用があるので、足を背屈させることはできても、底屈させることができなくなります。
治療
現在は手術療法がよく行われているようですが、当院では、保存療法と言って、手術をしない治療を行っています。
1) 膝から下にギブスを巻きます。この状態で、2週間。この2週間の間は、怪我をした方の足に体重をかけずに松葉杖を使って生活していただきます。入院の必要はありません。



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2)2週間経ったら、ギプスを巻き直します。今度は踵付きのギプスを当てます。この状態で4週間です。この時には、体重をかけても良いとしますので、ちょっと不自由ですが歩くことができます。だんだん慣れてきます。


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3)さて、踵付きギプスを付けてから4週間たちました。これでギプスは外します。そのかわり、足底板といわれるアキレス腱を保護するための装具を付けます。これを1ヶ月ほどつけています。
段階式になっており、1週間に1段ずつ外して行きます。
ここまで来ると,入浴の時には装具をはずして足をお湯につけてお風呂に入ることが可能になります。ただし,転ばないように細心の注意を払って下さい.


図:新しく装具を付けた状態.装具は足底部が多段階式になっていて,一週間に一段ずつはずしていきます.およそ1ヶ月ではずします.


装具をつけて3週間後.大分はずしましたので足底部が平たくなってきました.
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4)スポーツ復帰について
結局、10週間(2ヶ月半)ギプスや足底板をつけています。怪我をしてから3ヶ月したらジョギング程度の運動を許可しています。6ヶ月経った時点で、通常の競技スポーツに復帰を認めています。
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手術療法と保存療法との比較:
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保存治療
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手術治療
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手術を |
手術はしません
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手術をするので,手術をするリスクが伴います
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入院 |
入院は必要ありません
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通常,2−3日から2週間位入院します
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ギプス装着期間 |
ギプスを全部で6週間します
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保存治療に比べて,1週間ほど短くて済みます
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リハビリ |
沢山の患者さんに保存治療を今までやってきましたが,リハビリが必要であったのは1人だけです
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手術後,足首が堅くなりますので,それを柔らかくするリハビリが必要となることが多いようです.
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スポーツ復帰 |
基本的にアキレス腱が自然に癒合する(くっつく)までかかります.それには6ヶ月ほどかかります.したがって,スポーツ復帰に関して,保存治療と手術治療で差はありません.
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経済的負担 |
入院,手術をしない分,かなり経済的ご負担は少なくて済みます.
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*アキレス腱を保存療法ででも手術療法ででも,つないで,そのあと,ギプス,装具で治療してゆくわけですが,治療中に不意に転倒をしたりすると,せっかくつながったアキレス腱が切れてしまう事があります.これを,「再断裂」と言います.
いろいろな論文に「再断裂」の率を調べた結果が出ております.それらを見ると,手術療法,保存療法ともにおよそ,5%くらいとなっています.つまり,両者ともほとんど変わりません.
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いろいろ述べてきました.アキレス腱断裂は日頃,遭遇する事が多い怪我です.また,治療法は数多くあります.治療時には主治医のドクターのお話をよく聞かれるのがよろしいかと思います.
私は幸い,アキレス腱をまだ切ったことはありませんが,もし切ったら保存治療で治療したいと思っています.
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当院ではアキレス腱断裂に対してこのような治療を行っております。詳しくは、直接、当院までお気軽にお尋ね下さい。
住所 札幌市中央区南14条西19丁目1−1
電話 011-563-8400
e-mail:fushimikeimei@yahoo.co.jp